C5191(りん青銅)の特徴、機械的性質、物理的性質

2023-11-20

C5191は、りん青銅と呼ばれる金属材料の一種です。

りん青銅は、銅(Cu)とスズ(Sn)の合金である青銅に、りん(P)を加えることで、青銅内部に含まれる酸化銅を脱酸した金属です。

C5191は、りん青銅のなかでもスズの含有量が多く、強度や耐摩耗性を向上させています。

C5191(りん青銅)の特徴(導電性、耐摩耗性、耐応力腐食割れ)

C5191(りん青銅)は、展延性・耐摩耗性・耐食性・耐応力腐食割れに優れており、ばね材に適した材料です。JIS規格の【JIS H 3110:2018】では、高性能のばね性を要求するものは、ばね用りん青銅を用いるのがよいとされています。

C5191は、スズ(Sn)を5.5~7.0%と多く含有している金属材料です。りん青銅はスズを多く含有するほど、強度と耐摩耗性が向上しますが、その一方で導電性や熱伝導率の値は低下する特徴があります。

C5191の用途は、電気機器用ばね・スイッチ・コネクタ・ヒューズグリップ・しゅう動片軸受けなどが代表的です。

参考:応力腐食割れをわかりやすく!3要素と対策方法

参考:銅の加工ならMitsuri!1コ〜お受けいたします!

C5191の化学成分

<C5191 板及び条の化学成分(単位:%)>

合金番号 Cu Pb Fe Sn Zn Mn Ni P
C5191 a) 0.02以下 0.10以下 5.5~7.0a) 0.20以下 - - 0.03~0.35a)

a):Cuを分析し、Cu+Sn+P=99.5以上とする。

引用元:JIS H 3110:2018 りん青銅及び洋白の板及び条

C5191の機械的性質

<C5191 板及び条の機械的性質>

質別 製品記号 引張試験 曲げ試験 硬さ試験
厚さの区分(mm) 引張強さ(N/mm2) 伸び(%) 厚さの区分a)(mm) 曲げ角度b) 内側半径b) 厚さの区分(mm) ビッカース硬さc)(HV)
O C5191 P-O
C5191 R-O
0.10以上 5.0以下 315以上 42以上 0.10以上 1.6以下 180° 又はW 厚さの0.5倍
0.10以上 0.50以下
1/4H C5191 P-1/4H
C5191 R-1/4H
0.10以上 5.0以下 390~510 35以上 0.10以上 1.6以下 180° 又はW 厚さの1倍 0.10以上 5.0以下 100~160
0.10以上 0.50以下
1/2H C5191 P-1/2H
C5191 R-1/2H
0.10以上 5.0以下 490~610 20以上 0.10以上 1.6以下 180° 又はW 厚さの1.5倍 0.10以上 5.0以下 150~205
0.10以上 0.50以下
H C5191 P-H
C5191 R-H
0.10以上 5.0以下 590~685 8以上 0.10以上 1.6以下 180° 又はW 厚さの2倍 0.10以上 5.0以下 180~230
0.10以上 0.50以下
EH C5191 P-EH
C5191 R-EH
0.10以上 0.20未満 635~720 0.50以上 5.0以下 200~240
0.20以上 5.0以下 5以上
SH C5191 P-SH
C5191 R-SH
0.10以上 5.0以下 690以上 0.05以上 5.0以下 210以上

注記

a):各欄の上段は、試験片を板又は条の圧延方向に取った場合、下段は試験片を板又は条の圧延方向と直角に取った場合を示す。

b):曲げ試験の試験条件を示す。Wは、W曲げ試験を表す。

c):最小試験力は、1.961Nとする。

引用元:JIS H 3110:2018 りん青銅及び洋白の板及び条

C5191の物理的性質

<C5191の物理的性質>

液相融点 (℃) 固相融点 (℃) 比熱 線膨張係数 (20~300℃) [×10-⁶・K] 縦弾性係数 [kN/mm²] 導電率 [%IACS] 体積低効率 [10-3μΩ・m] 熱伝導率 [W/(m・K)] 比重 (20℃)
1045 910 377 18.0 105 13 133.0 67 8.83

引用元:阪根商事株式会社

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